- 日報を個人ごとに紙媒体で作成していたため、同じ生産ラインの他のスタッフの情報を効率的に共有できていなかった
- 設備の稼働状況は収集できていたが、現場の帳票が手書きであるため、生産実績の収集に時間がかかっていた
- 設備の状況や故障情報は各工場で管理されていたため、ある工場の情報を経営層、本社機能部門や他工場が把握するには、メールや電話で問い合わせる必要があった
設備や金型の保全データの管理が工場ごとにサイロ化
山形加工課 班長高橋 将之 氏
(右)株式会社アーレスティテクニカルセンター
生産技術部 技術主席水出 智明 氏
ダイカスト製品やアルミニウム合金地金、フリーアクセスフロアパネル、ダイカスト周辺機器の製造をグローバルに展開するアーレスティ。現在、自動車業界は「100年に一度の大変革」が起きていると言われ、自動車OEMや部品メーカー各社ではさらなる業務の高度化が求められている。
そうした中で自動車のアルミニウム部品などを製造するアーレスティでは、鋳造部門は、1990年代後半より「TOMS(トータル・オペレーション・モニタリング・システム)」と呼ばれる仕組みを独自に構築して設備の稼働状況をモニタリングしていた。加工部門は、2018年よりB-EN-Gのmcframe SIGNAL CHAIN OM 稼働モニタリング(以下、SIGNAL CHAIN OM)を用いた生産ラインの稼働状況可視化の仕組み作りに取り組んできた。一方でまだ多くの課題が残っていたのが、生産ラインにおける生産実績集計の効率化、および設備や金型の保全データ管理の仕組みである。
株式会社アーレスティ山形(以下、アーレスティ山形)加工課 班長 高橋将之氏は、「以前は、日報が紙ベースで作成されており、同じラインの他の担当者の情報を共有・把握しにくいという課題がありました。さらに設備の修理記録をPCで管理していましたが、閲覧できるのは自拠点の情報だけでした」と語る。
設備や金型の保全データ管理の仕組みについては、Microsoft Accessで開発・運用しており、それも業務に支障を来していたという。東海工場 鋳造設備課の市川加奈子氏は「データベース容量の関係で工場ごとの情報しか管理できないほか、Accessは使い続けると動作が重くなることも難点でした」と説明する。
アーレスティは、企業を統合してきた歴史的な背景から工場ごとで業務のやり方が異なる部分があり、それがグループ全体としての情報一元化を難しくしていた。生産技術部 技術主席 水出智明氏は、「設備や金型の保全データは各工場で管理していたため、データがほしいときにメールや電話で問い合わせしなければならず、会社の情報を横串で見たいという経営層や機能部門からの要望に迅速に応えられない状態でした」と振り返る。